医療従事者の方へ

国際学会参加報告

2022 Orthopaedic Trauma Association(OTA) Annual Meeting

日本骨折治療学会国際委員会
長崎医療センター 整形外科
宮本 俊之

2022年10月12日より15日までアメリカのタンパで開催された2022 OTA Annual Meetingに参加しましたので報告します。今年のOTAが例年と異なる大きな点は日本がGuest Nation(写真1)になっていることで、日本主体のシンポジウム開催や参加登録費の割引など例年にはないメリットが満載でした。しかしながらコロナ禍で所属先のルールが異なり、鎖国化していると言われても仕方がない状況下に大勢で参加することは困難でありましたが、なんとか15名ほどの先生に参加いただきました。渡米した10月11日より日本の水際対策が大幅緩和されたのは皮肉としか言いようがありませんでした。 OTAに加え、2017年よりInternational OTA(IOTA) なる組織が立ち上がり、12日はIOTAシンポジウムが多数企画され、日本からも複数の演題が発表されました。終了後のレセプションでは、シンポジウムの座長を担当された松下先生や峰原先生にOTAから感謝のトロフィーが贈呈されました。また翌日のジャパンシンポジウムに備え、日本からの参加者がほぼ全員が参加して海辺のレストランで壮行会を松下教授の乾杯の音頭と共に開催しました(写真2)。所属病院など関係なく、みんなが集るのが日本骨折治療学会の魅力の一つと思っています。

翌13日のジャパンシンポジウムは善家先生が開放骨折に対するFix and Flap、圓尾先生がCLAP、そして松下先生がChippingに対する講演(写真3)をされ、それぞれかなり反響がありました。その後メイン会場の前に設置されたジャパンブース(長崎大学から参加された2名の先生に担当していただき、この場を借りて御礼申し上げます。)には論文を求めて多くの先生が集まり(写真4)、あっという間に準備したJSFRグッズや論文のコピーが無くなり、もう少し多めに準備するべきであったと反省した次第でありました。特にCLAPは後進国の先生から驚くほどの反響があり、圓尾先生はしばらくブース前で引っ張り凧でありました。

午後からはOTA本会がスタートし、日本では経験できない広さの本会場(OTAは基本2会場です)で峰原先生が骨折関連感染症に対する内固定材除去の立場での発表を堂々とされ(写真5)、同じ日本人としてとても頼もしく、誇らしいシーンでありました。ポスターもJSFRの優秀演題に選ばれたものが複数登録されて、多くの先生がOTAを堪能されていました。

直前に巨大ハリケーンがフロリダを遅い、心配の耐えないOTA参加でありましたが、なんとかチームジャパンの結束で乗り切れました。参加された先生にそれぞれJSFRの活動にご協力いただき、感謝の気持ちで一杯です。12月にはオランダで第1回IOTAが開催されますし、2023年のOTAは日本からの直行便もあるシアトルでの開催が決定しています。ぜひこの機会に国際学会に参加していただき、自身の世界的な立ち位置を確認していただければと思います。国際委員会としては喜んで初参加の先生のサポートさせていただきます。コロナ禍が過ぎ去るのは時間の問題です。骨折治療学会の会員の皆様、翼を取り戻して世界にチャレンジしていきましょう。それが日本の整形外傷治療の未来につながると私は信じています。

写真1 OTA受付にて Japan 2022のポスター前での記念撮影
写真1 OTA受付にて Japan 2022のポスター前での記念撮影

写真2 壮行会後の集合写真、学会会場をバックに
写真2 壮行会後の集合写真、学会会場をバックに

写真3 日本シンポジウムの発表後の記念スナップ
写真3 日本シンポジウムの発表後の記念スナップ

写真4 Japanブース前の人集り
写真4 Japanブース前の人集り

写真5 講演中の峰原先生 巨大スクリーンにスライドと演者が映し出されます。
写真5 講演中の峰原先生 巨大スクリーンにスライドと演者が映し出されます。