医療従事者の方へ

国際学会参加報告

IOTA参加報告

長崎大学病院外傷センター 宮本俊之

 デンバーで開催されるOTAに先立って開催されたIOTA(International Orthopaedic Trauma Association)に参加しましたので報告します。IOTAは世界13ヶ国が参加して2017年にカナダのバンクーバーで発足した整形外傷を主とした国際学会です。北米色が強いのは否めませんが、現在18ヶ国が参加し徐々に大きな組織に発展しています。今回の参加のきっかけは北里大学の峰原先生からの電話からでした。骨折治療学会の国際委員は定期的に開催されるIOTAのネット会議に参加され(日本時間の早朝もしくは深夜?)そこでOTA期間前に開催されるInternational fracture forumの中でIOTA主催のシンポジウムを行うので参加できるかという議題が挙がり、早々に返事をという電話でした。私?(整形外傷界?)の基本スタンスは”Yes”か「はい」なのでその場で返事し、演題まで決めるというスピードでした。

 日本からは渡部理事長をはじめ14名が参加されましたが、渡米したその日はデンバー入りしていた8名の先生と地元の醸造所直営のビアホールで夕食を楽しみました(写真1)。医局の枠に囚われないこの様な雰囲気は骨折治療を引っ張ってきた諸先輩が作り出した伝統で、私の海外出張の楽しみの一つとなっています。初日目終了後にIOTAのレセプションがあり18ヶ国の国旗が並べられ表彰等が行われ、その会場で国旗とともにteam Japanの記念撮影をしましたが、とても感慨深いものがありました。またCampbell clinic留学中の恩師と友人にも数年ぶりの再会を果たすことができました。

 私の発表は2日目朝からのシンポジウムで、各国における脆弱性骨折の現状というテーマでのシンポジウムでした。イギリスからの報告はシステム化されたものであり、刺激になりました。私も日本の大腿骨近位部骨折治療の現状を中心にプレゼンを行いましたが、高齢化が世界で最も進んだ日本なので、「各国のロールモデルとなり得たい」と大ボラを吹いて話を締めました(写真4)。流石に言いすぎたとも思いましたが、世界でアピールするにはもう少し言っても良かったと今になって後悔しています。非常に和やかな雰囲気の中で国際学会を経験できるのもIOTAならではと感じています。

 2020年のOTAはテネシー州ナッシュビルで9月30日から開催され、さらに第1回IOTA総会がアムステルダムで12月2日から開催されます。非常にフレンドリーな会なので、多くの日本の先生に参加いただき知見を高めるとともに日本の先生同士もさらに仲良くなって骨折治療学会が世界に視野を向けた会になるきっかけを作っていただければと思います。さらに数年後には自分がこの場でプレゼンすることをイメージして参加してもらえればと思っています。勇気を持って世界に羽ばたきましょう。