医療従事者の方へ

フェローシップ

台湾 fellowship program レポート 2024

台湾フェローシップ報告

筑波大学 整形外科
角南 貴大 先生

2024年7月12日から19日にかけて台湾で行われたフェローシッププログラムに参加させていただきましたので報告させていただきます。本フェローシップは日本骨折治療学会で奨励賞を受賞できたため参加させていただけたのですが、私が受賞したのは第45回(2019年)でした。当年度にCOVID-19の1st pandemicが世界中で起こり、その後のコロナ禍により延期されていましたが、実に5年の月日をかけて再開される運びとなりました。混沌とした状況の中、開催に向けて調整をしてくださった骨折治療学会の役員・評議委員の先生方にこの場をお借りして深謝いたします。

さて、フォローシップはAnnual Meeting of TOTA(Taiwan Orthopedic Trauma Association)での発表と3病院での施設見学を行いました。
学会前日の昼に成田空港を出発し、高雄国際空港へ3時間のフライトと送迎により高雄市内のホテルに夕方ごしました。しばらくフェローシップが延期されていた期間中にも学会奨励賞を受賞された大阪市立総合医療センターの永井洋輔先生、神戸市立総合医療センターの山下伸之輔先生とも同行することになっていたので、現地で合流しました。全員学生時代にバスケ部だった関係で元々存じ上げていた方々だったので大変気楽でした。
到着後、程なくして懇親会でタイ・韓国から来られたゲストの先生方とともに台湾の先生方による熱い歓迎を受け、翌日の学会に臨みました。学会は2日間行われましたが、2日目は現地語のセッションのみということで我々は初日のみ参加しました。私は学会奨励賞を受賞した演題「日本人におけるTITSスクリューの適応」でプレゼンさせていただきました。学会は日本のものと比べると小規模でしたが、大いに盛り上がりました。
翌日は山下先生が帝京大学に国内留学されていた時に交流のあったLiu先生に昼過ぎまで高雄の街を案内していただき、翌日からの病院見学に備えて移動しました。翌日からの病院見学は国立成功大学附属病院(National Cheng Kung University Hospital)を2日、高雄医学大学附属中和記念病院(Kaohsiung Medical University Chung-Ho Memorial Hospital)を1日、高雄栄民総医院(Kaohsiung Veterans General Hospital)を2日間、というスケジュールで見学しました。
各病院で共通していたことは1500床以上、手術室が30室以上ある大病院で、医療の集約化が進んでおりました。病院によっては術中CTが撮影できる設備やハイブリッドORが整備されており、非常に環境も整備されている印象でした。人手不足という日本でも同様の悩みを抱えつつ朝から晩までみっちり手術が組まれており、外傷の症例を中心に多くの手術を見学させていただきました。使用できるインプラントが患者の加入している保険によって(経済状況)制約があることなどを知り、いかに日本の環境が恵まれているかを思い知らされました。
時間に余裕がある日にはレジデントの先生に連れ出していただき、台湾名物の牛肉湯や、かき氷などを堪能したり観光名所(安平城堡、Pier-2 ArtCenterなど)を巡りました。台湾はスクーター社会でかつ車の運転も荒い人が多いが故に外傷の数が非常に多いと教えてもらいましたが、観光中に手配されたuberの運転手が苛立ちを隠しきれずに荒い運転を行うTesla社の車に乗って、身の危険を感じつつ妙に納得しました。
フェローシップ期間中は毎晩のように歓迎会を各施設のスタッフ、レジデントの先生方に開催していただき、台湾の先生方の尋常でないhospitalityに触れました。病院でのみならず各々の国で抱える医療制度上の問題、外傷治療を行う上で抱えている問題など議論を交わすことができ大変有意義な時間を過ごしました。また、自分が海外からのguestを迎える立場になった時には同様におもてなしないといけないと強く思いました。最終日の金曜日は解散が0時近かったのですがVeterans Hospitalの先生方は「明日も手術8件入ってるんだ。他にやる時間ないし。」と言いながら帰って行かれました。
最後になりますが、現在脊椎外科医として歩みを進めている私をフェローシップに参加させてくださった本学会の先生方、快く送り出してくださった筑波大学附属病院整形外科の先生方、一緒にフェローシップに参加した永井先生と山下先生に御礼申し上げます。

TOTAにてhostの先生方と韓国、タイ、日本からのguest speakerの集合写真
TOTAにてhostの先生方と韓国、タイ、日本からのguest speakerの集合写真