神戸市立医療センター 中央市民病院 整形外科
山下 伸之輔 先生
2023年の日本骨折治療学会の奨励賞の特典として、2024年7月12日から20日までTaiwan Orthopaedic Trauma Association(TOTA)での発表と、台南のNational Cheng Kung University(NCKU) Hospital, 高雄のKaohsiung Medical University(KMU) Hospital, Kaohsiung Veterans General(KVG) Hospitalを見学してきたので報告させていただきます。今回のフェローシップは奨励賞受賞後にコロナ禍で参加できていなかった大阪市立総合医療センターの永井洋輔先生と、筑波大学附属病院の角南貴大先生と3人で行動しており、私は主に前半部分の台南にあるNCKU Hospitalについて報告させていただきます。
まず今回のフェローシップ期間中に1番感じたことは、台湾の先生方のホスピタリティの高さに感動しました。3つの病院を見学しましたが、どこの施設に行っても各病院の教授をはじめレジデントまでとても親切丁寧に接してくれました。朝のカンファレンスでは活発な議論を交わすことができ、日中の手術見学では手術中にも関わらず手を止めて細かく指導してくれました。夜は毎日夕食に招待され、お酒を飲みながら日本と台湾の医療環境の違いや症例についての議論、日本のドラマやアニメ、趣味の話など、とても楽しい夜を過ごすことができました。
今回のフェローシップの旅日程は
7/12 関西国際空港から高雄着、TOTA welcome party参加
7/13 TOTA参加・発表
7/14台南へ移動、NCKUの先生方とwelcome dinner & case presentation
7/15-16 NCKU Hospital見学、再び高雄へ移動
7/17 KMU Hospital見学
7/18-19 KVG Hospital 見学
7/20 帰国
という日程でした。
TOTAの発表を終えた翌日、夕方に台南へ移動しNCKU Hospitalに到着後、初日の夜は台南の地元の郷土料理店に連れていってもらいました。教授であるDon Wu先生とレジデントを含めた10人ほどが参加し、店にプロジェクターを持ち込んで台湾ビールと台湾ウイスキーを飲みながらのcase discussionが行われました。我々3人の他にもレジデントが寛骨臼骨折の症例を提示してくれて、活発な議論にお酒も進み、とても有意義な時間を過ごすことができました。
2日目は朝7時半からカンファレンスがあり、我々フェローシップの3人はTOTAで発表した内容を発表しました。今回私は脆弱性骨盤骨折について発表しましたが、台湾でも最近増えてきて注目されている分野であり、多くの先生方がとても興味を持って質問してくれました。日中の手術見学は脛骨骨幹部骨折の髄内釘の手術を見学しましたが、台湾では患者の収入状況によって使える医療資源やインプラントに制限があり、見学した症例では国内産の髄内釘が使用されていました。また、専用のデバイスがないという理由でInfla-patellar approachが選択されており、日本との違いを大きく感じました。
NCKU最終日の3日目は朝7時半からレジデントがcase presentationを行い、午前中は1件手術見学をして、午後からは日本をこよなく愛してくれているレジデント2人(Dr.Ray & Alicia)が台南の観光に連れていってくれました。台南で有名な牛肉湯(beef soup)を食べ、マンゴーかき氷屋に連れていってもらい、遺跡巡りをした後はお土産店巡りまでしてくれて、そのホスピタリティの高さに驚きました。最後の夜も Don Wu先生が夕食に連れていってくれて、まさに至れり尽くせりで充実した台南でのフェローシップを終えることができました。
今回台湾に9日間滞在しましたが、寝る時間以外はほとんど永井先生、角南先生と一緒に行動をしていました。全員がバスケットボール部出身という不思議な縁もあり、みんなで洗濯をしたり夜コンビニに行って散歩をしたりと、合宿をしているような気分で本当に有意義な時間を過ごすことができました。2人にとても支えられたフェローシップであり、心の友ができたと思っています。大変感謝しています。
最後に、このような素晴らしい機会を与えて頂いたJOTA, TOTA関係者の先生方と長期の不在を了承していただいた神戸市立医療センター中央市民病院の先生方に深くお礼申し上げます。