医療従事者の方へ

フェローシップ

韓国 fellowship program レポート 2023

The fellowship exchange program between JSFR and KOFS

香川労災病院
前原 孝 先生

2020年の第46回日本骨折治療学会で学会賞を受賞し,米国OTAでの発表と韓国への訪問の機会を得た.2021年10月にFort Worthで開催されたOTA 37th. meetingではoral presentationに採用されたが,この時期はコロナが猛威を振るっており残念ながら渡航することは叶わず,リモートでの参加となった.早朝5時過ぎの医局会議室で参加したが,孤独な時間であった.
一方,韓国への訪問は延期されその機会は失われたかに思えたが,今年になって過去の受賞者も参加できるという案内をいただき大変驚いた.コロナ前のfellowship programは2施設の見学と学会参加で約2週間の日程と聞いていたので,「さすがに2週間も病院を留守にするのは・・・しかも自分のような年齢の人間が・・・」と悩んだが,見学施設を1施設に絞って日程を短縮するという選択肢が提示されたこと,さらに同期の黒住先生も参加予定という情報を得て参加を決断した.
訪問先の高麗大学校九老病院 (Korea University Guro Hospital : KUGH)は韓国の名門私立大学の大学病院で,prof. JK-Ohがそのchiefである.KUGHには虎の門病院の黒住健人先生と産業医大の岡田祥明先生と私の3人で訪問した.
JKには日本のAOコースで何度かお会いしたことがあり,教育に対する熱意を持ったストイックな人物という印象を持っていた.しかし蓋を開けてみると,初日から「君たちがfellowだって?けっこう歳がいってるように見えるけど?」と全力でイジってくれる気さくな性格のナイスガイであった(写真1).
また,KUGHのNo.2であるdr. JW-Choは見学最終日に,我々とお互いの症例や研究内容を議論する時間を作ってくれた.JWは膝蓋骨の粉砕骨折に対してmini plateを用いて工夫を凝らした内固定を施行しており,大変興味深かった.彼が日本語で「私はパテラの変○(Patella-mania)なんです」と自己紹介してくれたので,「私は大腿骨の○態(Femur-mania)ですよ」と自己紹介して大腿骨の形態に関するデータの一部を紹介した.お互いにかなりのマニアだと理解し合うことができ有意義な時間となった.
今回のfellowshipに参加するきっかけとなった転子部骨折に対する整復位維持の工夫については,訪問先のKUGHのmorning conferenceで若手ドクター向けのmini lectureとして(写真2),さらに第49回KOFS meetingでguest speakerとして,計2回のプレゼンテーションを行う機会を得た(写真3).
今回,1週間という短い期間だったが本当に楽しく貴重な経験をすることができた.韓国のドクターはみな非常にfriendlyで,その高いhospitalityに感銘を受けた.何より自分のモチベーションが高まっていることを実感しており,多くの方(特に若い先生)に海外のドクターとの交流を経験して欲しいと思う.今後,自分もできる限り後押しできるよう努めていきたい.
最後に,このような機会を与えていただいたJSFRとKOFSの両学会関係者の方々,また長期間留守にすることを許してくれた香川労災病院の同僚に心から感謝の意を表します.

写真1.中央がProf. JK-Oh, 右端がDr. JW-Cho
写真1.中央がProf. JK-Oh, 右端がDr. JW-Cho

写真2.KUGHのモーニングカンファレンスでは地元のプロ野球チームのユニホームを着てプレゼンを行った.
写真2.KUGHのモーニングカンファレンスでは地元のプロ野球チームのユニホームを着てプレゼンを行った.

写真3.KOFSでの発表
写真3.KOFSでの発表