大腿骨骨幹部とは大腿骨の中央部分を指します(図1)。この部分が骨折した場合を、大腿骨骨幹部骨折と呼びます。
骨折の仕方は年齢層(大人、子供、高齢者)によって大きく異なります。

図1 大腿骨の部位の名称
大腿骨骨幹部骨折では、骨折部に付着する筋肉の作用により骨折部が大きくずれ、明らかな変形がみられます。足が外側に向き、短縮していることが多く、歩行は困難となります。
診断は主にレントゲン撮影で確定します。 レントゲン撮影は2方向から撮影し、骨折の有無を確認します。
高エネルギー外傷(交通事故や転落事故など)の場合、全身のCTを撮影し、他の外傷の有無や骨折部の評価を同時に行います。
大腿骨は大きな筋肉で覆われ血流が豊富なため、一度骨折すると 500ml~1000ml程度の出血が予想されます。 血液検査で貧血を評価し、必要に応じて点滴や輸血を行います。
一般的には手術治療が推奨されます。近年では、手術の待機期間が長くなることで肺機能や心臓機能の低下、深部静脈血栓症(エコノミー症候群)のリスクが高まることから、早期手術が推奨されています。
手術法

図2:16歳男性(受傷時、術後、1年後:良好な骨癒合が得られている)

図3:18歳男性(受傷後、一時的創外固定、内固定術後)
小児の場合
大腿骨骨幹部骨折は骨折した時点での出血が500~1000ml程度生じます。適宜採血などを行い貧血が進行場合には輸血を行います。
開放骨折では閉鎖骨折に比べて感染リスクが高まります。
血流が豊富で骨癒合は比較的容易ですが、癒合が遅れる場合があります。超音波骨折治療を併用したり、癒合を促進する手術を行うこともあります。
骨折部が変形して癒合する場合があります。小児では過成長により骨折した下肢が長くなる可能性があるため、成長終了まで定期的な診察が必要です。
安静による血栓が下肢血管に生じるリスクがあります。手術前後に予防的対策(ストッキング、フットポンプ、抗凝固薬の使用)を講じます。
骨折や挫滅により脂肪組織が血管内に入り、肺や脳の循環障害を引き起こすことがあります。治療は対症療法が中心です。
手術翌日には車椅子移動を行い、リハビリを開始します。膝関節や股関節の可動域が低下しないよう、早期から関節可動域訓練を実施します。また、筋力低下を予防するリハビリも並行して行います。
荷重をかけるタイミングは骨折の状態や固定方法により異なるため、医師の指示に従い、適切な時期から歩行練習を開始します。
2025年12月