ちょっと足首を挫く、いわゆる捻挫は誰でも経験あるかと思われます。
しかし、時には単なる捻挫で済まないこともあります。痛みや腫れが強いので病院を受診したら「骨折しています」と言われてびっくりする事態にもなります。
この骨折はその昔、下駄をはいていて挫いたとき発生しやすかったため「下駄履き骨折、または下駄骨折」という名前がついています。
足の甲の骨、第1から第5まである中足骨のうち、第5中足骨の基部の骨折をいいます。
現在でも下駄をはかなくても、裸足や靴を履いて室内や階段で強く捻挫することで骨折することがあります。
また、スポーツなどによって繰り返すストレスでも第5中足骨の,この場合は少しつま先寄りに骨折を生じることもあります。
ジョーンズ(Jones) 骨折と呼ばれる特殊な疲労骨折です(図1)
図1.第5中足骨骨折の解剖(a.下駄履き骨折、b. ジョーンズ骨折)
下駄履き骨折の場合は、受傷直後から足部の強い痛みと腫れ、皮下手血(内出血)が出現します(図2)。
特に足の外側、小趾側に痛みがあり、普通に足を着いて歩けない状態になります。
一方ジョーンズ骨折では、スポーツ時の軽い痛みで発症して、徐々に強くなりスポーツ継続が難しくなります。
足の腫れは殆どなく、歩けないことはありません。
診断はレントゲン撮影で可能です。
図2.下駄履き骨折による足部の腫れと皮下出血(内出血)
下駄履き骨折の場合は、3~4週間のギプスシーネ(半ギプス)固定で手術しないで外来通院によって治療できることが多いですが、骨折のズレがひどい場合は手術になることもあります(図3)。
一方ジョーンズ骨折では、初期ならしばらくスポーツなどの活動休止で治癒することもありますが、受診が遅くなると悪化して治るのが難しくなる可能性があります。
そうなると手術になります。また、早期にスポーツ復帰を希望する人も手術となります。
手術はワイヤーで締結するか、特殊なスクリューを挿入する方法で行います(図4)。
術後はしばらくの間(3~4週間)、骨折した足を地面に着けて歩けないため、松葉杖で歩かなければなりません。
図3.下駄履き骨折のレントゲン写真
図4.ジョーンズ骨折のレントゲン写真
足部の痛み腫れを早く取るためマッサージや温熱療法を行うことがあります。 また、時期がくれば足を着いて歩く練習も必要になります。
単に捻挫と思わず、痛みと腫れが出たら信頼できる整形外科を受診することを進めます。 また、スポーツ中に痛みを感じるときも、疲労骨折の疑いがありますので必ず整形外科を受診して診察を受けてください。
2016年6月