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骨折の解説

脛骨プラトー骨折

徳永 真巳(福岡整形外科病院)

プラトーってなんのこと…?

脛骨プラトー骨折の「プラトー(plateau)」とは英語で「高原」を意味していて、すねの骨である脛骨(けいこつ)の関節面をあたかも高地に広がった平原に見立てた専門用語です。
若い人では交通事故や高所からの転落などの大きな外力で骨折し、またお年寄りでは普通に転んだだけの小さな外力で「プラトー」が折れて陥没したり、段差を生じたりします。

なぜこの部位が「プラトー」と呼ばれて特別扱いされているかといえば、膝の関節の一部であり体重をうける部分ですので、うまく治療できないと体重を支えることや、膝をスムースに動かすことが難しくなるからです。

どんな症状があるの…?

交通事故や転落など激しいケガの後に下肢に痛みがあり動けない場合は、明らかに異常はわかりますから割愛しましょう。
転倒などで脛骨プラトーが骨折すると、膝の痛みに加えて通常は歩けなくなります。
しだいに膝の関節に血がたまり、動かすことも難しくなります。
この時点で皆さんは病院を受診するはずです。

どんな検査をするの…?

病院では必ずレントゲン写真を撮ります。
骨折を見つけるために、また骨折の状態を把握するために複数枚の写真を撮ります。 少し痛いかもしれませんが、頑張ってください。

さらにCT検査をすることが一般的です。 CTを撮ることで、より詳細に立体的に骨折部を理解することができます。 また骨折だけではなく関節内の軟骨や靱帯なども一緒にケガをしている場合があり、これはレントゲンやCTではわかりません。 そうするとMRI検査も必要となります。 レントゲンでは骨折線が見えない骨折(不顕性骨折といいます)もMRIではバッチリわかります。

図1

図1

図2

図2

絶対手術が必要なの…?

一般に折れた部分のずれや陥没が大きければ手術をしないといけないと言われています。 なんと言っても関節面の骨折なので、鏡のようにツルツルの元通りにするのが理想です。 ずれの小さな骨折や不顕性骨折以外は、手術をしてズずれを治して固定をし、早くリハビリできるようにします。

どんな手術をするの…?
1)プレートによる内固定

プレートと呼ぶ金属の「板」とスクリューで内固定する方法です。 皮膚をある程度切開し、関節を開いて陥没や段差を治し、プレートで固定します。 ずれがない場合は、小さな切開からプレートを皮膚の下に滑り込ませて使用することもあります。 場合によっては人工骨の移植やほかの部位から骨を移植する場合もあります。

2)関節鏡視下手術

一部の骨折型では膝の内視鏡である関節鏡を使って、関節を大きく切らずに手術することが可能になりました。 そのおかげで皮膚切開も小さく手術侵襲は小さくなり、スクリューだけで十分な固定ができることもあります。

図3

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リハビリは…?入院期間は…?

術後数日からゆっくりと膝を曲げる練習を始めます。
術後すぐに体重をかけて再陥没など固定部がズレたら困るので、術後3~4週は足をつけないようにします。
いろいろな場合があるので一概には言えませんが、一本杖歩行になるのに2カ月弱はかかります。
その間は松葉杖が必要ですが、きれいに治れば元通りになるのでしばらくの間は我慢してください。
必然的に1~2カ月の入院リハビリが必要になることが多いですね。

さいごに

この部位の骨折は特殊な骨折であり、上手に治療できないと後遺障害を残すことも考えられます。
ぜひ骨折治療経験の豊富な整形外科医に治療をしてもらって下さい。

2014年3月