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橈骨(とうこつ)遠位端骨折

池田 和夫(金沢医療センター 整形外科)

転倒した時に手をついて受傷するのが、手首の骨:橈骨(とうこつ)です。

図1.橈骨

図1-1 橈骨は親指側の太い骨で、矢印の位置で骨折しています。
ちなみに小指側の細い骨は尺骨(しゃっこつ)と呼ばれています。

図1.橈骨

図1-2 このX線写真は手術例です。プレート固定がされており、矢印の骨折部は元の位置に整復されています。

もし骨折をしていれば、痛みと腫れで「これはおかしい」と誰でも気がつくはずです。 そういう場合には、X線検査を受け、正しい診断をつけてもらうことが大切です。 その骨折の程度により、治療が湿布だけで良いのか、ギプスを巻くべきなのか、手術が必要なのか、などがわかります。 もし骨折が関節に及ぶ場合にはCT検査などが必要になる場合もあります。 変形が強い場合や、関節に骨折が入っている場合には手術をしないと後遺症が残る場合もあります。

年齢による分類

橈骨遠位端骨折は、年齢により大きく3つに分けることができます。
子供の骨折、青壮年の骨折、高齢者の骨折です。

「子供の骨折」

走っていて転倒したり、スポーツで転倒したりという時に手をついて骨折は生じます。 子供の骨は骨膜が厚いので「ポキン」と折れずに、青竹や若木が「ミシミシ」と折れるようになります。 また、骨癒合が良く、再構築(リモデリング:ある程度曲がって骨癒合しても、徐々に自然と本来の形に戻っていく)することが、成人の骨折とは異なる特徴です。 シーネ固定やギプス固定などの保存療法で治ることが多いですが、大きくずれた(転位した)場合には手術を行うこともあります。

変形の骨折

図2-1 矢印部分で30度の手のひらの方向への変形の骨折が見える。

骨癒合

図2-2 2か月で手のひらの方向への変形が戻り真っ直ぐに骨癒合してきている。

「青壮年の骨折」

高所からの転落やバイクの転倒などで高エネルギー損傷が多いのがこの年代の特徴です。 したがって、骨折のずれ(転位)が大きかったり、関節内に骨折が入ったりして、手術を受けないと後遺症が残りやすい骨折の頻度が多いのです。 また、手関節の靱帯に合併損傷がある場合もあります。

「高齢者の骨折」

お年寄りが転んで手を着いた時に、手首はよく骨折する部位です。 高齢になるにつれ骨が脆くなること(骨粗鬆症)に関係しています。
ですから、若い時には骨折しない程度の力でも、手首の骨は折れてしまいます。
高齢者のほとんどは、玄関でつまずいたとか、布団の縁につまずいたといった程度の転び方で骨折をしています。
骨折のずれ(転位)が少なければギプス固定や装具で治療します。 骨折部が大きくずれているような場合や関節内に骨折が入っている場合には手術が選択されます。

転位による分類

骨折のずれ(転位)によって、橈骨遠位端骨折はいくつかに分類されます。以下に、代表的な骨折のタイプをCT像で示します。

コレス骨折
図3-1 コレス骨折のCT像 図3-2 コレス骨折

図3-1、-2 転倒した時に、手のひらを地面について骨折すると、骨折部は手の甲の方向にズレます。 手背が膨らんで見えます。 これは「コレス骨折」と呼ばれます。 最も多いタイプです。
コレス骨折のCT像を示します。手首を横から見た断面像で、右が手の先になります。 矢印が骨折部で、手先が手の甲の方向へズレています(太い矢印)。 関節内には、骨折線がありません。

術後のによる固定

図3-3 術後の状態で、プレートにより整復位で固定されています。

スミス骨折

図4 転倒した時に、手の甲を地面について骨折すると、骨折部は手のひらの方向にズレます。 これは「スミス骨折」と呼ばれます。自転車のハンドルを持ったまま転んだ時などに生じます。
スミス骨折のCT像を示します。手首を横から見た断面像で、右が手の先になります。 矢印が骨折部で、手先が手のひらの方向にズレ(転位)ています(太い矢印)。 関節内には骨折線がありません。

背側バートン骨折
図5 背側バートン骨折

図5 手関節の中の手の甲側の部分が骨折してズレると「背側バートン骨折」と呼ばれます。 手首を横から見た断面像で、右が手の先になります。矢印が骨折部で、手関節の手の甲側の部分がズレ(転位)ています。

掌側バートン骨折
図6 掌側バートン骨折

図6 手関節の中の手のひら側の部分が骨折してズレると「掌側バートン骨折」と呼ばれます。 手首を横から見た断面像で、右が手の先になります。矢印が骨折部で、手関節の掌側部分がズレ(転位)ています。

図7 変形治癒

図7 手関節内の粉砕骨折があると、治療は困難になります。右が手の先になります。矢印が骨折部で、手関節内はいくつにも割れてずれています。

骨折を放置すると、変形したまま骨が固まり(変形治癒)、機能障害を残すことがあります。 また、遅発性に手指腱(すじ)が切れたり、手指の先が痺れる手根管症候群という神経の障害を発症したりと、合併症がおこることもあります。 骨折は早期に、しっかり治すことが大切です。

図8 変形治癒した手の外観

図8 変形治癒した手の外観

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