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こどもが骨折してしまった!! ひょっとして骨折??

中瀬 尚長

質問1「きちんと治るかどうか心配なのですが...」

こどもの骨は、くっつきやすいのですが、しっかり治療を受けないと心配なことが起きることがあります。(図1)

小児の骨は成人よりも骨癒合(骨がくっつく事)が旺盛で早いのが特徴です。
また、ずれたままくっついても、程度が軽ければ自家矯正力(自分の力で勝手にまっすぐになる能力)があるので、その後の経過の中で次第にまっすぐになってゆきますが、その程度には限りがあります。
むやみなご心配はご無用ですが、これからこのコーナーで説明させていただくように、専門的な診療が必要ですので、きちんと整形外科を受診する事をお勧めします。

図1.小児の骨折の自家矯正

図1.小児の骨折の自家矯正(自然にずれが治ってゆく事)。矢印が骨折部。
小児の脛骨(すねの骨)骨幹部(骨の中央部)の骨折が、ギプス固定で治ってゆく過程のレントゲン像。 折れたときには骨同士が少しずれていますが、ずれた所に新しく骨ができて、時間とともに(左から右に向かって)元の骨の形が取り戻されています。

成長障害(成長するにつれ、骨が曲がってくる事)の危険があります。

成長期の骨の両端には、骨端線と呼ばれる、軟骨でできた細いラインがあり、ここで骨が成長して長くなってゆきます。(図2)
この場所は怪我に弱く、一旦骨折で傷んでしまうと、軟骨が死んでしまうことがあります。 その場合には軟骨は二度と元に戻らず、どのような治療を行っても、その後の成長が損なわれてしまう場合があります。
その結果、成長してゆくにつれて、折れなかった方の骨より短くなってきたり、曲がってきたりします。(図3)
従ってこの場所の骨折の場合には、骨がくっついてからもしばらく経過を見る必要があるので、主治医のいいつけを必ず守ってください。
長さの差を調整したり、曲がった骨をまっすぐにするために、手術が必要になることがあります。
逆に骨の中央部での骨折では、再生能力が高すぎて、折れてない方より1~2cm長くなってしまうことがあります。

図2.小児の大腿骨遠位部(膝の部分)のレントゲン像

図2.小児の大腿骨遠位部(膝の部分)のレントゲン像。 左が正常で、右は骨折した骨です。 左の矢印の黒く抜けた線は、骨端線とよばれ、成長してゆく軟骨の部分で、レントゲンに写りません。 右の矢印は、骨端線での骨折を示します。

図3.子供の時の骨折とその後の成長障害

図3.子供の時に骨端線のところで骨折し、その後の成長障害により、大人になる頃には膝から足にかけての変形が起こってしまった方の写真です。
この方は、右膝の骨折で、5cm右足が短く、曲がっています。

質問2「打撲して痛がるので病院に行ったら“折れているかもしれないが、わからない”と言われ、とても不安です。」

診断が難しいことがしばしばあります。
  • 腫れや痛みといった症状は、骨折を疑わせるサインです。
  • 小児の骨は柔らかく、また関節の近くなどはレントゲンに写らない場所があるために、いくら検査をしても分からない事があります。(図4)
  • このため、左右のレントゲンを撮って比べてみたり、何回かレントゲンをとったり、場合によっては、MRIなどの特殊な検査を行う事があります。
  • 骨折しはじめの頃には分からなくて、その後日数が経ってから、骨折したところに新しくできた骨(仮骨“かこつ”といいます)がレントゲンに映し出されて初めてわかることもあります。
  • 主治医に繰り返し受診を勧められた場合には、不安がらずに必ず指示に従ってください。
図4.わかりにくい骨折のレントゲン像

図4.わかりにくい骨折のレントゲン像(3歳のこどもの肘)。矢印が骨折しているところですが、左右のレントゲンを比べてみてやっと骨折がはっきりする事があります。 上の矢印では、薄い黒い線があり、これが骨折したところです。下の矢印のところでは、骨に角度がついて折れ曲がっており、骨折していることがわかります。

先天性の病気や腫瘍が潜んでいる場合があります
  • ちょっとした怪我で骨折した、または、骨折を繰り返す、こんな方は、先天的な骨の病気や、骨の腫瘍(ほとんどが良性のものです)が潜んでいる場合があります。
  • 早めに発見することが大切で、専門的な病院の受診が必要になる場合もあります。

質問3「レントゲンを見ると骨折したところがずれているのですが、手術は必要ないと言われました。大丈夫でしょうか?」

小児では、大人に比べて保存治療(メスをいれない治療)が頻繁に行われます。
  • 当初にお書きしたように、子供の骨は再生能力が高く、多少ずれていても時間とともにずれが治ってゆくのが特徴です。
  • ただし、その程度には限界がありますので、主治医の判断に従ってください。
そのため、一定期間、生活が不便になります
  • 手術をしないかわりに、ギプス(プラスチックの固定具)を数週間つけっぱなしにすることがあり、その間、入浴をはじめとする日常生活や学校生活が不便になります。
  • 太もも(大腿骨)の骨折では、骨に針金を通して、ベッド上で引っ張り続けるという治療(牽引治療)を行うことがあります。 この場合には、数週間の入院が必要になり、その間ベッド上に釘付けになります。

質問4「手術が必要と言われましたが必要でしょうか?どんな手術になりますか?」

手術が必要な場合も少なくありません。
  • ずれ方や折れたところのぐらぐらの程度が大きい場合には手術が必要になります。
  • またたとえ少しのずれであっても、折れた場所が関節や、先に述べた骨端線のところであれば自家矯正(自分の力で自然に治ること)が起こりませんので、手術してずれを直しておく必要があります。
  • 入院期間やギプスをつけている期間を短くするためや、早く学校生活やスポーツ活動に復帰するために手術を行う場合もあります。
子供の骨は成長中であり、可能な限り骨に無理を加えないように手術します。(図5)
  • 成人に比べると体内に埋め込まれる金属の数は少なくなりますので、大人で手術を経験された方とは、事情が異なります。
  • 鋼線や金属のネジ・プレートを使って、ずれを元に戻して折れたところを固定します。
    • 太さが数ミリの鋼線やネジで固定します。
    • 鋼線の先を皮膚の上に飛び出したままにすることがありますが、心配は要りません。
    • 年長のお子さんでは、皮膚に切開を加えて、そこから金属のプレートをいれることもあります。
    • ネジやプレートは、骨がくっつけば取り除きますが、骨とくっついてしまって、取り外しが難しくなることがあります。
    • 手術後もしばらくギプスが必要なことがあります。
  • 麻酔をかけて、ある程度ずれを直したうえで、ギプスを巻くだけのこともあります。
  • 創外固定といって、皮膚から骨にピンを貫通させ、そのピンを体の外から特別な固定器を用いてつなぎとめるという方法を行うこともあります。
図5.手術による様々な固定法

図5.手術による様々な固定法を示します。

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