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骨折の解説

足関節骨折(足首のくるぶしの骨折)

吉田 佳奈美(厚生連滑川病院 整形外科)

足関節骨折は下腿骨折の中で最も頻度が高く、跳躍や高所からの転落、転倒などにより、足関節に直接外力が加わったり、外側や内側に捻りやねじれが加わったりしたときに起こる骨折です。足関節は距腿関節と言われ、脛骨、腓骨、距骨の3つの骨で構成されています(図1)。腓骨の遠位と脛骨の遠位から構成される‘ほぞ穴’に距骨がはまることで、足首を底屈・背屈させる動きを行なっています。そのため、骨折した場合には関節のずれを元に戻す必要があります。

図1.足関節解剖模式図

また、骨だけでなく関節を保護する靭帯も損傷する可能性もあり、その場合は足関節が不安定となり、痛みが残ったり動きが制限されたりします。そのため靭帯が損傷しているかどうかの確認も必要となります。
一般には‘ずれ’のない骨折は保存的治療(ギプス固定や装具など)が行われますが、骨折の‘ずれ’が大きく、安定しない場合は手術が必要となります。

診断
転倒やスポーツで足関節を捻ってから歩行時の痛みや腫れ、変形が起こることがあります。受傷した時は歩くことができても、徐々に痛みが強くなることや腫れがひどくなることもありますので、その場合は専門医での診察を勧めます。まずは足関節の腫れや圧痛、皮下血腫を確認し、レントゲン検査やCT検査を行い、関節面の骨折や‘ずれ’の程度を調べます。また、靭帯が痛んでいるかどうかストレス撮影を行うこともあります。

骨折の分類
骨折の分類には主に3種類あります。受傷肢位と外力の方向による分類である、Lauge-Hansen分類(図2)、腓骨骨折の高さによる分類のWeber分類(図3)、Weber分類を元にし、手術方法の決定に役立つAO分類(図4)があります。

図2.Lauge-Hansen 分類

図3.Weber分類

今回は臨床でよく使われているAO分類を紹介します(図4)。
脛腓靭帯より遠位(足側)をTypeA、同部位をTypeB、近位(下腿側)をTypeCで分けます。またそれぞれの骨折部位が単独か内側の損傷や骨折があるか、後方の骨折や損傷があるかで1−3に分け、1が軽症、3が重症となります。腓骨骨折の位置がより近位になると足関節の不安定性は高くなり手術が必要になることが多いです。

図4.AO分類

治療
保存的治療
骨折の‘ずれ’が軽度で良好な関節面の位置が保たれていれば、ギプスや装具などで固定を行います。

手術的治療
骨折の‘ずれ’が大きく、靭帯の損傷や不安定性が強い場合は手術療法が必要となります。 骨折が複雑になると、骨だけでなく脂肪や皮膚などの軟部組織も傷んでしまい、水疱ができたり腫れが強く出たりします。そのため、段階的に手術することもあり、腫れが治るまで、一時的に創外固定を立てて骨折した部分の挙上と安定を図り、軟部組織の状態を改善させます(図5)。

図5.創外固定

手術の方法は、骨折した部分をもともとの形に整復し、プレートやスクリュー、針金などを用いて固定します(図6−8)。

図6.TypeA骨折

図7.TypeB骨折

図8.TypeC骨折

骨だけでなく、脛腓靭帯が損傷し不安定性が強い場合は、スクリューやスーチャーボタン(タイトロープなど)用いて腓骨と脛骨間を固定することもあります。 手術後は必要に応じてギプスシーネ固定を行います。また翌日から足関節や足趾を動かす訓練を行います。手術の影響で腫れが生じるため、アイシングと挙上を行い、腫れが引いてきたら必要に応じて装具を装着し、足首を90度に保つように固定します。
今までは、手術した後6週間ぐらいは体重をかけられませんでしたが、それによる筋力の低下や足関節の拘縮などの合併症が懸念されました。よって骨折の状態によって異なりますが、両松葉杖で部分的に体重をかけて早期の荷重歩行開始を開始することで、筋力低下や拘縮などの合併症を予防することを目指しています。

最後に、足関節骨折はとても複雑な関節で体重を支えながら、足首を回したり、曲げ伸ばししたりとさまざまな役目を担っています。足関節の動きをスムーズに行うことで歩いたり、走ったりといった動作を円滑にします。
そのため、骨折によってそのバランスが崩れてしまうと、不都合が生じてしまいます。足関節の関節面をしっかりと怪我をする前の状態に戻し、機能を回復させることが重要となります。よって怪我をした早期に病院を受診していただき、専門医(整形外科医)による治療を受けることをお勧めします。

2025年12月