膝蓋骨は、膝の関節の前方に存在し、一般に「膝のお皿の骨」と言われている丸い骨の事です。この膝蓋骨の役目は、膝の動きを滑らかにすることで、特に膝の曲げ伸ばしの際に、膝関節の前方に留まり、動きを効率良くするためとなる重要な要となります。
この膝蓋骨は、専門的には種子骨と呼ばれ、植物の種のような形をしています。種子骨は、通常は筋肉の末端にある「腱」と呼ばれる筋肉の条(スジ)の中に包まれ、筋肉の動きを助ける小さな骨です。膝蓋骨はその中でも最も大きな種子骨なのです。
膝蓋骨骨折は、転んで膝をぶつけた、階段などの角にぶつけた、あるいは膝の上に物が落ちてきたなどの原因で発生します。極まれに膝を力強く曲げた時、高い所から飛び降り時など、大腿の筋肉が異常に伸ばされた際にも骨折することがあります。
図1の様に、膝蓋骨が骨折すると、それを包んでいた大腿部の腱によって引き裂かれた、2つあるいはそれ以上の骨のカケラに割れ、自分の意思ではうまく膝が動かせなくなります。そして膝が激しく腫れ、押さえると非常に痛みを感じるようになります。場合によっては、皮膚の表面から骨折した骨のカケラの一部や引き裂かれた骨のカケラの隙間を触ることができます。

図1 受傷時の膝蓋骨骨折。折れた骨のカケラが引き裂かれている。
a: X線側面画像。3つのカケラに割れている。
b: 別方向(軸位)画像。縦状に割れている。
膝蓋骨骨折の治療は、手術を行わない保存療法と手術を行う手術療法の2つがあります。
保存療法は、膝蓋骨が骨折しても、折れた骨のカケラがあまり引き裂かれなかった場合に行われます。具体的には、大腿部から足までの長いギプスを巻いて(図2)、あるいは装具という特殊な固定具を用い、膝をまっすぐに伸ばした状態で固定します。そして骨折が治った直後から膝関節の曲げ伸ばしのリハビリを行います。

図2 保存療法。大腿部から足までの長いギプスを巻く。
手術療法は、膝蓋骨が骨折して、骨のカケラが引き裂かれた場合に必要です。
一般に、小さな骨片による骨折が多いので、細い針金や特殊な糸を巻いて固定する方法が良く行われています(図3a, b)。この細い針金や糸を結び付けたり、あるいは、ひまわりの花の様に折れた膝蓋骨の回りを巻いたりすることによって(図4)、膝蓋骨を強く引っ張る力に対抗して、骨折した膝蓋骨が引き裂かれるのを防ぎます。これにより早々に膝の曲げ伸ばしやそのまま歩行することが出来、治療後のリハビリの時間を短縮させる長所を持っています。

図3 細い針金や特殊な糸を巻いて骨のカケラを固定する。
a: 手術方法(テンションバンド固定 https://www.aofoundation.org)
b: 術後X線画像

図4 ひまわりの花の様に、折れて砕けた膝蓋骨の回りを巻いて固定する方法
(ひまわり法 https://himawari-method.jp)
このように膝蓋骨を骨折したと思われる場合は、まず応急処置として、膝をまっすぐにして、副木などを用いて固定し、膝が曲がらないように努めてください。そして膝のあたりを氷か冷水で冷やしてください。その後、専門医に相談をし、その治療方針を決めて頂くのが最良と思います。
2025年12月