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骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折

浦山 茂樹(特定医療法人昭愛会 水野記念病院 整形外科)

脊椎圧迫骨折は背骨の椎体がつぶれて扁平になったものです。
20年ほど前までは若い人が高い所から落ち、臀部を強打したときに生じるものでした。 しかし、最近の高齢者の増加にともない骨粗鬆症のある背骨に生じることが多くなっています。多くは後方へ転倒し尻餅をついたときに生じます。 その他にお米や布団などの重いものを持ったりしたときや、畑作業や草むしりなどの作業を長時間行っても生じることがあります。
「みぞおち」の後方にある背骨(胸椎と腰椎の移行部)に骨折が生じやすいのですが、痛みは骨盤付近の腰部に感じます。 痛みには特徴があり、寝ている姿勢から起き上がろうとする瞬間に鋭い痛みが生じ、一旦立ち上がればあまり痛くなく、歩行もなんとか可能というもので、「体動時腰痛」といわれます。 この体動時腰痛が骨粗鬆症のある人に生じればX線検査で骨折が明らかでなくても、骨折を考えた方がよいといわれています。

時間の経過とともに体動時腰痛は軽くなりますが、詳しく尋ねると骨折が治る頃まで瞬間的に生じる痛みとして続きます。
また、骨折が治っていない時期によく動いたりするとこの体動時腰痛が増強することもよくありますので注意が必要です。

診断

診断にはX線検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。
骨折の変形が少ないとはっきりしないことがあり、できるだけ早い時期にMRIを撮影します。 MRIの診断率は高く90数%以上の確率で診断できます。

骨折すると多くは背骨の椎体の前の部分がつぶれますが、中央部がつぶれることもあります。 中央部のみがつぶれたときはあまり痛くなく、いつの間にか治っていたということもあります。 椎体の後方部にまで骨折が及ぶと破壊が高度ですので、痛みが強く、ときに足がしびれたり動きにくくなったり、尿が出にくくなったりする麻痺が生じることもあります。 また、時間が経過しても、骨折が治らないため背骨が高度に変形することがあり、このときも麻痺が生じることがあります。

治療

治療の基本は保存治療です。
受傷後1か月の間、骨折部は不安定で容易に変形しますので特に注意が必要です。柔らかいコルセットよりむしろ、硬めのコルセットを使用し、骨折の程度によってはギプスを身体に巻いたりします。これによって、痛みを軽くし、変形の進行をできるだけ防ぎます。それでも痛みは骨折が治る頃まで続きますので、寝たり起きたりの回数はあまり多くしない方がよいと思われます。頻尿の人はとくに寝たり起きたりすることが多いので、尿の回数を減らすお薬を飲んでもらうこともあります。また、畳の上よりむしろ立ち上がりやすいベッドでの生活を勧めています。

骨折は背骨の椎体の後ろの部分から治ってきます。早い人でも受傷後2週から、多くの人では3~4週から骨が形成されてきます。すると大概の人は楽になったといわれますが、背骨の前の部分が治るまで変形は進行しますので治療を継続することが大切です。

骨折が治ると体動時腰痛は完全に消失します。しかし、コルセットを外したなりのときは疲れやすいので、長時間座っていたり、台所仕事をしたりしていると腰が痛くなってきます。背中の筋力が弱っているために、筋肉が疲れやすくなっているのです。
受傷初期に感じた体動時腰痛の鋭い痛みと異なり、重だるく感じる痛みで、横になるとすぐに楽になります。そして15分から20分くらいすると再び楽に動けるようになります。
徐々に身体を慣らしていくようにしますが、身体の筋肉を鍛えることも大切です。とくに背筋を中心に腹筋も鍛えます。再度転倒しないようにバランスの訓練も行います。
このようにして身体が回復するまで半年から1年を要します。背骨の変形が強く残っていたりすると、以前のように元気になりませんので、受傷した最初の1か月の間に変形を進行させないようにすることも重要です。また、再び骨折しないようにするため骨粗鬆症の程度を検査し、治療薬を内服して骨を強くすることも非常に重要なことで, 背骨だけでなく他の部位の骨折予防にもなります。

図1

図の説明
73歳女性。第1腰椎圧迫骨折。尻餅をついて受傷。X線側面像では背骨の椎体の高さが減少している(矢印)。
MRIでは骨折はより明らかであり、受傷したところの輝度が低下し黒くなっている(矢印)。
骨折は椎体の後方部にまで及び、脊髄(神経)に向かって突出していることがわかる(太矢印)。

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