医療従事者の方へ

国際学会参加報告

OTA2023に参加して

大分大学 金崎彰三

2023年10月18日から21日にシアトルで開催されたOrthopaedic Trauma Association Annual Meeting 2023に参加してきました。海外の学会参加は何度もありましたがOTAは今回が初めてで、結果的には想像以上の大きな刺激を受けた旅となりました。
私は18日のpre-eventであるInternational Trauma Care Forum (ITCF)というセッションでの発表だったため、17日夕方に日本を出発し、シアトルには17日朝に到着しました。日本チーム約15名も概ね17日に合流し、夜は長崎医療センターの宮本先生、3週間前までシアトルのHarborview Medical Centerに留学されていた長崎大学の太田先生のコーディネイトで決起集会が行われ、シアトルの素晴らしい海鮮料理で士気を高めて学会に臨みました。
学会場はSeattle Convention Centerで、会場は大きいものの、会場数、参加者の規模としては日本で行われる骨折治療学会と比べても特に大きい訳ではなかったのがやや意外でした。Pre-event dayの18日は私の発表したITCFと、もう一つBSFFという別のプログラムが並行して開催されているおり、後はレジデント向けのコース(Orthopaedic Trauma Boot Camp)などが行われている程度でした。ICTFはメインのプログラムではないため会場も日本の学会場と変わらない程度でしたが、他の発表者はRCTの結果など質の高いデータを上手なプレゼンで出してくるので、聞いているうちにそのレベルの高さから事前に想像していた以上に緊張してしまいました。途中から屋外に出て何度となく発表の練習をして本番に臨みました。本番では緊張でやや噛みましたが、何とか終えることができました。質疑応答ではやや不本意な返答をしてしまいましたが良い経験になりました。余談ですが、自分の発表するITCFもメインの学会参加費とは別の参加費を払わないと参加できないため、今後参加される先生はご注意願います。私はそんなことは全く知らなかったため、前日の決起集会で教えてもらい当日会場で別料金を支払うはめになりました。
19日には帝京大学乾先生がメインプログラムであるannual meeting podium sessionで発表され、こちらは大型スクリーンが2つ、中央の演題のとんでもなくでかい会場でした。乾先生の発表の内容の素晴らしさも含めて大きな刺激となりました。同日にはIOTA2028の開催地を決める会議が行われ、見事日本開催が決定したことがビッグニュースでした。開催決定には国際委員会の先生方の御活躍、宮本先生の素晴らしいプレゼンが効いたようで、大役を見事に果たした先生方、本当に大変お疲れ様でした。19日の夜はHarborview Medical CenterのSean Nork先生のホームパーティに日本チームをお招き頂きました。ご自宅は中心部のダウンタウンから歩いて行ける距離の高層階のオシャレなマンションでした。全体で30名以上?でも余裕がある程の広さで、参加者も高名な先生が多く、アメリカのエリート医師の生活を垣間見た感じでカルチャーショックでした。途中からはUCSFのwelcome partyに移動して海外のIOTAメンバーとも交流を深めることができました。
21日午前には単身Pelvic and Acetabular courseに参加してきました。60名程度の参加者で、1テーブル5-6人、基本的には各テーブル毎のCase-based discussionでした。その合間にあるmini-lectureを担当したのはKeith Mayo先生、Sagi先生、Routt先生など骨盤寛骨臼骨折界のall starsと言って良いほど高名な講師陣でした。アメリカ人のdiscussionのスピードにはついていけず悔しい思いもありましたが、これも今後の課題として精進していきたいと思います。
今回はたまたま演題が通り発表することができましたが、来年以降も参加できるように臨床、研究活動に勤しんで行きたいと思える学会でした。日本に帰ったら早速慌ただしい日常ですが、この気持ちを忘れずに日々を過ごして行きたいと思います。
最後になりましたが、今回の旅を素晴らしいものにしてくれたチーム日本の他の参加者の先生方、1週間も留守にした間にがんばってくれた大分大学のスタッフに感謝の意を表したいと思います。

ITCF sessionでの発表の様子
ITCF sessionでの発表の様子

日本チーム懇親会
日本チーム懇親会

Pelvic and Acetabular courseにてJA Scalaro先生と。
Pelvic and Acetabular courseにてJA Scalaro先生と。